花に焦がれて蝶の夢 (2017/02/02完成)(2017/02/09公開)

プレイ人数:1人
プレイ時間:2~4時間
シナリオ執筆:鹿
シナリオ概説:「今日一日、私‥‥ウチを守ってほしいの」
       突然現れた依頼人は不思議な雰囲気の女子高生で‥‥?
       用心棒と浪漫がテーマの一人用シナリオ。

■フォア・プレイ

このシナリオは、1回以上冒険したことがある亜侠1人で遊ぶためのものです。戦闘向きでないPCで遊ぶ場合、もしくは戦闘特化のPCで遊ぶ場合は敵の数を調整するといいでしょう。
このシナリオをスムーズに遊ぶためには『ロケットNo.1』と『サタスペスペシャル』、『鉄火場と鉄砲玉』が必要です。なければ好きに決戦場やNPCのデータを組み直してください。
主に「情報」、「血戦」、「浪漫」のルールを使用します。

■舞台

このシナリオは、中華街が舞台となります。
該当のページをコピーして見ながらプレイすると、スムーズに進行でき、より盛り上がるでしょう。

■導入

●描写

予定のない日、まずは腹でも満たそうか。
そんなことを考えながら朝の中華街を歩いていたキミに、曲がり角から漫画みたいにぶつかってきた女子高生。
キミが何か言う前に、彼女は顔をあげ、キミに叫んだ。
「助けて、追われているの!」

PCが中華街のバンブービレッジそばを歩いていた時、曲がり角で女子高生にぶつかられたところからスタートします。
『鉄火場と鉄砲玉』収録のジオラマ「路地裏(P91)」で血戦を行ってください。敵は「警備員(ロケットP23)」2体です。
+血戦時処理例

血戦が終わると、彼女は「ありがとう、その、強い‥‥んやね!」と笑顔を見せます。そしてPCに《宝石》を渡して「今日一日、わた‥‥ウチを守ってほしいんや」と依頼します。
PCが承諾すると、しばらく喜んだ後、ハッとして「あ、えーと‥‥じゃあ、この近くにあるっていう料理屋にでも、行きま、行くでー!」とバンブービレッジの看板が見えているにも関わらず逆方向へ歩き出します。どうやら彼女は【方向音痴】のようです。
PCが案内してやり、今日はどこへ行くのかなど聞くと、「うーん‥‥‥‥あっ!ゴホン、楽しいところ!あなたが決めてくだ‥‥決めてええよ!」と言葉遣いに似合わぬ穏やかな笑みでPCに笑いかけます。

■彼女との一日

このシナリオでは、一日を8ターン(朝、昼前、昼、昼過ぎ、夕方、夜、深夜、早朝)として処理します。ここから1ターン目(朝)の計画フェイズがスタートします。

ターンの始めに、PCはまず場所の移動を行います。この時点で、中華街を出ようとするならイベント「封鎖」が、プレジャーランドへ向かうならイベント「秘密」が発生します。各イベント処理を行ってから、再度場所の移動を行ってください。

また、この時点で彼女のステータスは代償の【方向音痴】以外わかりません。名前を聞けば少しの間があった後、花屋の方を見て「ジャスミン」と答えるでしょう。見かけない制服を着ている「女子高生(基本P122)」に見えますが、PCが〔犯罪〕で難易度9の判定に成功するとこれが【変装】だとわかります。
+【変装】について


■情報

このシナリオで手に入る情報は以下の通りです。
また、調査対象の彼女がそばにいるため、難易度が通常のものより2上がります。

●彼女について

ターゲットトピック:SL1/2 アブノーマル、アラサガシ、ハイソ
SL1で得られる情報:彼女がPCから少し離れた隙に、一目で裏の人間だとわかる男がPCに接触してきます。彼女のお守りをしてくれていることに礼を言い、大事な商品なので無事に夜にはプレジャーランドへ届けてくれと続けるでしょう。
PCが彼女の素性を尋ねると「知らない方が身のためだ。少なくとも、俺からは明言できない」と答えてくれません。
しかし、交渉によっては彼女の「名前」と「職業」以外(環境値、天分値、性業値、趣味、異能、代償)のデータはいくらか教えてもよいでしょう。
この情報を入手して、彼女に何らかの形で話をするならイベント「告白」が起こります。

SL2で得られる情報:自分たちをつけている人間の存在に気付きます。その相手は二種類いるようで、片方は二人を監視しているようで、恐らくSL1の情報を得た際に接触してきた男の仲間たちでしょう。
もう片方は彼女に対して殺気を孕んだ視線を寄越してきており、彼女が何者かに命を狙われていることがわかります。

■イベント:封鎖

PCが彼女を伴って中華街から別のエリアに移動しようとすると、途中で彼女が「あっ!待って!」と何かに気付いたようにPCを引き留めます。
「私‥‥こ、この辺りで遊びたいな、なんて‥‥」
彼女の視線の先には、橋や道路、もしくは駅の入り口を塞ぐようにしてこちらに視線を送ってくる男たち。彼女はPCを急かして中華街へ戻るでしょう。
これ以降、彼女が周囲を気にするようになり、情報収集の際にプラスされていた難易度が1下がります。

■イベント:秘密

PCがプレジャーランドへ向かおうとすると、目的地を尋ねた彼女がさっと顔色を変えます。
「そこは、あの‥‥とにかく別のところに‥‥行きた、行かへん?」
明らかに彼女は動揺しており、頑なにプレジャーランドへ向かうことを嫌がります。無理矢理連れていこうとするなら逃げてしまうでしょう。
これ以降、彼女は何か考えにふけるようになり、情報収集の際にプラスされていた難易度が1下がります。

■イベント:告白

SL1の情報を得たPCが、浪漫、交渉などのRPで彼女の素性を尋ねると彼女は観念したように話し出します。
「私の本当の名前は‥‥小灰(シャオ フィ)といいます。プレジャーランドの、娼婦です」
プレジャーランドの中で生まれ、今までプレジャーランドの外に出たことがなかったこと。いつも遊びに来てくれるお客様が私を引き取りたいと言ってくれたこと。優しい人ではあるが、きっと引き取られた後も自由に部屋からは出してもらえないであろうこと。今夜迎えに来ることが決まり、今しか外を見る機会がないと思い、警備の隙をついて脱走してきたことを彼女は話します。
「今までとこれからの人生には満足しています。一度だけ‥‥外を見てみたくて。今日の終わりにはプレジャーランドに帰ろうと思っています。‥‥黙っていてごめんなさい」
全てを話した彼女はPCに謝罪し、夜までは一緒にいてくれないかと言います。夜(6ターン目)になると、彼女は自分からプレジャーランドへ送ってくれるように頼んでくるでしょう。

■イベント:刻限

夜のターンになると、彼女はプレジャーランドまで連れていってほしいと頼みます。
(もし「告白」のイベントが起こっていなければ、具体的な場所は言わず、近くまで送ってもらうと礼を言って夜の街に消えるでしょう。)

「ありがとう、今日は‥‥とても、楽しかったです」
彼女は今日の思い出を話し、ここまでで大丈夫だと言って一人でプレジャーランドの中に入っていこうとします。
SL2の情報を入手しているなら、彼女に向けられていた殺気が気になるでしょう。PCにそれとなく思い出させてもいいかも知れません。
PCが最後まで付き合うと言うと、彼女は驚きながらも、嬉しそうに頷きます。

彼女と共にプレジャーランドの高層階まで上がり、廊下を歩いているPCは〔犯罪〕で難易度9の判定を行います。成功すると左右の部屋が嫌に静かであり、殺気が漏れていることに気付きます。失敗すると不意打ちの攻撃を行われ、〔肉体点〕が2減少します(セーブ不可)。

二人の前に現れるのは彼女をライバル視していた繭佳とそのお付きの「黒服(基本P129)」2人です。
「アタシのお得意様だったのに‥‥アンタがいなくなれば、アタシがいい暮らしをさせてもらえるのよ!」
叫びながら、繭佳はデリンジャーを構えます。血戦になります。
+ジオラマ・血戦時処理例

PCが倒される他に、彼女が死亡した場合も血戦で負けたことになり、結末の処理を行います。

■結末

●彼女が何者かわからず、夜別れた

あっという間の一日でした。しかし、彼女は一体何だったのか。
帰り道、報酬を手にPCは首を傾げることでしょう。

●彼女をプレジャーランドまで送って帰った

彼女の背を見送り、アジトへの帰り道、PCは彼女にもらった報酬を取り出します。
《宝石》を透かし見た、夜の街のネオンは少し悲しげでした。

●血戦で負けた

ご愁傷様です。
死んでいなければ、〔肉体点〕が1の状態でゴミ捨て場で目を覚ますかもしれません。酔って見た夢だったのでしょう。

●敵を全て倒した/血戦を終わらせた

血戦を終えて奥の部屋へ行くと、彼女を連れてこいと言った男がおり、《札束》1個を駄賃として渡してきます。PCが瀕死の状態であれば手当をしてやってもいいでしょう。

部屋で支度を調えた彼女は、金糸で蝶の刺繍がされたチャイナドレスに身を包んだ美しい姿で頭を下げます。
「たった一日、それでも‥‥私は幸せでした。夢のようでした。ずっと忘れません。ありがとう、強くて優しい用心棒さん」
そう言うと、どんな宝石よりも綺麗な微笑みを残して彼女は去っていきます。
PCはアジトに帰ってぐっすりと休むことでしょう。放り出した荷物の中で、彼女に貰った《宝石》がキラリと光っていました。

NPC

●小灰

18歳のどこか浮世離れした少女です。素の話し方はしっかりとした敬語ですが、女子高生になりきろうと振る舞っており、おかしなイントネーションのオオサカ弁を話します。
もしPCが彼女を気遣って「プレジャーランドに帰らず逃げないか」と提案した場合、彼女はPCの気持ちに涙を零して感謝しますが、PCの安全を考えて提案は断ります。また、PCが浪漫を試みてくれるようなら好みはPCに合致したものにしても良いでしょう。
最後の血戦で【もてなし】を使用するため、お腹がすいたと言って「食事」を欲しがるといいでしょう。
 
犯罪:2 生活:6 恋愛:6 教養:4 戦闘:1
肉体:3 精神:5
反応力:3 攻撃力:1 破壊力:1 性業値:9
趣味:読書、旅行、ファッション、トンデモ、サビシガリヤ
   (※中華街にある趣味でPCと同じものがあればそれに変更するとよい)
異能:魔性の笑顔(バッドカルマ:色事師)、両刀使い(色)、もてなし(親)、変装(泥)
代償:方向音痴(走)、カモ(ダ)、大迷惑(キ)

●繭佳

綺麗ですが、少しキツイ雰囲気の26歳の女性です。
お得意様が小灰を気に入って引き取りたいと申し出たため、小灰を恨んでおり、小灰がいなくなれば自分がそのポジションに収まれると思っています。
データは「アゲ嬢」に『鉄火場と鉄砲玉』収録のバッドカルマ【報復の歌】を持たせたものを使用します。




どうでもいい一言

 セッション時、彼女以外のコマ絵はいらすとやさんからお借りしました。なんでもある。すごい。
 繭佳のコマは水商売で働く女性にスターターピストルを持たせるのがオススメです。

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